死にかけて「助けて」と男が祈った神さまは死神だった。
しかも、ちゃんと現れて助けてくれた。助かったはいいものの、無理やり結ばされた契約をたてに死神はずっと側を離れない。
どころか、うるさい。とても、うるさい。「いいこと」を言ってるんだけど、あまりにおせっかいすぎて、ゆっくり考えごとも出来ない。
さらに厄病神やらなにやら現れて、賑やかなことこの上ない。
いっそ静かな場所に行こうと思った。死神はついて来るんだけど、静かなところに行きたかった。
向かうのは、捨てた、誰からも捨てられた故郷。誰かが守ってくれるものだなんて虫が良かった。
誰もいない故郷で、死神と月を見上げることにした。