丸尾丸一郎 × 戒田竜治

新書を朗読するvol.3 そなえられない「災」

防災も減災も想定しがたい「災」~家族がある日、犯罪を犯してしまう。家族が犯罪者になるかもしれないと想定しながら生きていくことは、恐らく無理でしょう。しかし実際にその境遇に置かれてしまう当事者は存在しています。被害者家族はマスコミの取材による二次被害で心の傷が癒える間もありませんが、あまり前面に出ることのない加害者家族も、実は凄惨な生活を強いられています。罪の悲しみや苦しみは、加害と被害の双方向に生み出されており、2010年に出版された『加害者家族』(鈴木伸元著・幻冬舎)は、相互にもたらされる悲苦を浮き彫りにした一冊です。淡々とした文語調で綴られる一冊を、彼我をこえたご本尊の眼差しを背に、人間を描く表現者である俳優による朗読で肉感を持って浮かび上がらせます。

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Credit

■ゲスト■

山口洋典(立命館大学共通教育推進機構准教授)

■進行■

齋藤佳津子(應典院寺町倶楽部事務局次長)

■構成・演出■

戒田竜治

■朗読出演■

河上由佳/諏訪いつみ/笹川未希/湯山佐世子/竜崎だいち(羊とドラコ)/近藤ヒデシ(COMPLETE爆弾)

■朗読する新書■

『加害者家族』(鈴木伸元著・幻冬舎)

■企画■

應典院寺町倶楽部

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詳細

日時:1/21(土)12:00~16:00

第1部 12:00~12:45 朗読『加害者家族』(幻冬舎新書)第1章より

第2部 13:00~14:15 朗読『加害者家族』(幻冬舎新書)第2章・第4章より

第3部 14:30~16:00 トークセッション

会場:應典院2F本堂ホール

参加費:無料(カンパ制)

問合せ:應典院寺町倶楽部 事務局 TEL:06-6771-7641 Mail:info@outenin.com

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演出より

『加害者家族』を初めて読んだとき、頭を抱えてしまった。なにかしたいと思った。けれども、なにが出来るのか分からなかった。加害者家族支援の団体に身を投じるようなバイタリティーは既にない。かといって、この本を原作に演劇作品をつくって果たして僕の中に芽生えた気持ちは届くだろうか。悶々と考えているうちに、いっそそのまま朗読してみてはどうだろうと思い至り、当時、應典院の主幹だった山口洋典さんに相談して『新書を朗読する』シリーズは生まれた。

*

『新書を朗読する』は今回で3回目になるが、単におすすめの新書というだけではなく、俳優とともに一つの舞台にまでつくりあげたいのは『加害者家族』だった。この中には【割り切れないもの】が詰まっている。向き合い悩み考えるしかない。

*

犯罪被害者、その遺族、家族の苦しみは筆舌に尽くしがたい。一方で犯罪加害者の家族もまた過酷な状況に置かれる。もちろん、やむを得ないものはあるだろう。だけど、その苦しさの大半は『匿名の悪意』で出来ている。必ず苦しい状況には置かれる。ならば『匿名の悪意』だけでも抑えることは出来ないのか。そんなことを考えた。

*

繰り返しになるが、同時に被害者の苦しみも忘れてはいけない。その双方の悲苦を舞台に乗せるにあたって、演者の背後から彼我をこえた眼差しでご本尊が見守る應典院ほど相応しい舞台はないと考えた。そして、この「災(わざわい)」は備えることが出来ない。家族が犯罪を犯すのではないかと想定しながら生活することなど、通常においてはあまりにも現実的でない。備えられないものに、どう向き合うのか。向き合えば向き合うほどに、もし自分が同じ立場に置かれたらと考えざるを得ず、それは備えられなさがより浮き彫りになるだけでもある。

*

2015年に同作品を上演した際には、黙読で読むのとはまた違ったものを感じたというお声をたくさんいただきました。人を描く表現者である俳優たちの肉声を通じて立ち上がる『加害者家族』に、ぜひお立合いいただきたいと思うのです。

満月動物園 戒田竜治

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