満月動物園 第壱拾七夜 『ツキノオト』 特設サイト 演劇公演 大阪日本橋 in→dependent theatre 1st

STORY

～ストーリー

私はいつか、月にいく　ぜったい、いく

もう、サイアクなんです。７年も付き合ったカレからプロポーズされたー! と思ったら、車にはねられて10メートルも飛ばされて、 こりゃ死ぬわ、えーっ!? このタイミング？ って思ったてら飛ばされてる間に ちっこい死神が出てきて「お前は死ぬ」って分かっとるわ！　 「いつか死ぬ」っ て今じゃないんかい！　ちっこい死神 はもうツッコミどころ満載でなんだか分からないうちに助けられたらしくて、 10メートルも飛ばされた割にはケガも、 そこそこ大した大ケガ程度で済んで、でもちっこい死神は私のこと助けたくせに私に まとわりついて私の死に様なんかささやくもんだから、自分の死に様を 知るってそんなにキモチのいいもんでもなくて、そこそこ大した大ケガもしたし 自分の死に様も知ってる女だし、だいたいいい歳の女ですけど ヨメに貰ってくれますかってカレにダイレクトに 聞いてみたら、 「どこからツッコンだらええか分からん」って言われて、 そりゃそうだと納得したりするねんけど、ねぇ、仕事も行かな あかんし、友だちの悩みも聞いたらなあかんし、カレが浮気してるらしいって目を真っ赤にした 友だちほっとく訳にもあかんやん？　だいたいなんで浮気なんかメンドウなことするんかな？　 出会って好きになって、その前に相手の ことが好きな自分に気がついて、どうにも折り合いがつかんもんで「好きです」 言うて「ほなら付き合いましょか」ってなってもお互い の好みも最初は分からんし、 しょうもないケンカとかして消耗しながらだんだん居心地が出来てきて、できたらできたで居心地ようして いかなあかんし、って そんなメンドウなプロセスを何回もしようなんて人の気が知れんわ、そんなことより私にはもっと大事なことが あったはずやのに、それもいまいち思いだされへんし、ちっこい死神はいっつも私のそばからはなれへんし、 はなれへんどころかなんか 増えてるし、ちっこい死神がむれになってキャーキャー言うてるし、 もう私のことひとりにしてぇや、私もいろいろ考えたいこともあんねん、 あー、もう逃げたい、逃げたいけど逃げたらシャクやから 私は月にいくねん、 いつか月にいくねん、さすがに月まで逃げたら逃げたんやってことに誰も 気がつかへんし、なんかカッコもええやろ？　 ぜったい、いく。